今回の参院選から新設され、比例代表で各党が優先的に当選させたい候補者を事前に指定する「特定枠」について、主要7政党のうち利用したのは自民党だけだった。公職選挙法上、特定枠候補は選挙運動に大幅な制約があり、ほかの6党は比例票の上積みに得策でないと判断したようだ。
自民党は2人の候補者を特定枠とした。ほかには、政治団体の「れいわ新選組」が2人、「労働の解放をめざす労働者党」が1人をそれぞれ特定枠の候補とした。
参院選の比例代表は、有権者が政党か候補者の名前を書いて投票する。これまでは政党の得票に応じて配分される議席の中で、候補者が個人名の票数を競う「非拘束名簿式」だった。
特定枠候補はこれと切り離して上位に扱う。個人票は所属政党の票とみなし、票数に関係なく名簿順に当選が決まる。いわば政党の獲得議席のうち、特定枠候補の分は「指定席」で、残りの「自由席」をめぐり特定枠以外の候補者がしのぎを削る仕組みだ。
特定枠に上限数はないが、事務所設置や演説会、選挙カーの使用、ポスターやビラの掲示・配布など比例候補としての選挙運動はできない。ただ、電子メールでの投票呼びかけは政党の運動とみなし、認められる。
特定枠は、参院定数を6増する改正公職選挙法に盛り込まれた。自民党が「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区対象県で公認を得られない現職を救済する狙いで国会に法案を提出し、昨年7月、与党の賛成多数で成立した。立憲民主党や共産党などの野党は衆参両院の特別委員会の審議で「自民党の党利党略だ」と批判し、委員長の不信任動議を出すなど成立に抵抗した。(清宮真一)
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