それぞれの最終楽章・読者から(5)
遠藤節子さん(静岡県沼津市・55歳)②完
ようやく施設に入れた父でしたが、そこからが大変でした。転倒を繰り返し、発熱したり吐いたりするたびに私が呼び出されました。毎朝、「今日は帰る」と言って、エレベーター前からずっと離れなくて困っているので、説得してほしいとも言われました。
その後、肺炎や腸閉塞(へいそく)を繰り返し、そのつど入院→退院→入所、の繰り返しでした。父はますます手がかかる状態になったので、それまでの大規模な介護施設から小規模な施設に移りました。
しかし、人手不足だったのでしょうか、面会に行ったときに、顔もエプロンもとろみ食にまみれ、スプーンを持たされたまま固まっている父を見つけました。そのとき初めて、父のことを「かわいそう」と思いました。翌日、母に「お父さん、家に連れて帰ろうか」と相談しました。母は「そう言ってくれるのを待っていた」と泣きながら喜びました。
すぐにケアマネジャーに連絡、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル