7日夜に首都圏で発生した最大震度5強の地震で、改めて備えを点検した人もいたのではないでしょうか。ただ、自宅など慣れた土地で被災するとは限りません。新型コロナの感染者が減って遠出を考える人もいるでしょう。旅先など見知らぬ土地で地震が起きた時に身を守るためには――。各地で災害や防災に関する講演をする、「防災クエスト」(小学館)の著者で看護師の辻直美さん(51)に聞きました。
旅行に行くなら、まず「自己完結する」という心構えで家を出ましょう。滞在先で被災した場合、宿泊施設の従業員や周辺住民も被災者となります。「観光客だから特別扱いされる」という考えは通用しません。慣れない土地で、知らない人ばかり。「元気な人は72時間は自分で何とかする」という心づもりが大前提です。
出発前に目的地の災害リスク確認を
出発前には、ハザードマップを見て、その土地でどんな災害のリスクがあるのかを把握し、避難場所や避難所を確認しましょう。避難先は災害によって違うこともあります。避難所はコロナ下で、収容人数が縮小されているため満員になりやすいことを想定し、3カ所ほどは見つけておきましょう。
防災科学技術研究所などが公開する「地震10秒診断」というサイトが便利です。宿泊先や長時間滞在する場所の住所を入れると、今後大きな地震が発生する確率や、発生後のライフラインの復旧期間の目安が見られます。
グーグルアースでは、狭い道や坂道も一目で分かるので、避難する場合の道順などをあらかじめ考えておきましょう。
宿泊先に着いたら、非常口の場所と部屋からの距離を確認してからくつろぎましょう。 災害は怖いけれど、防災は面白いです。旅行の機会に、親子で防災について学ぶことも楽しんでもらいたいと思っています。例えば、「あの緑色の看板は何かな?」と調べる、「避難所の看板探しを競争しよう」とオリエンテーリングのように歩き回る、といったやり方もあるでしょう。
防災伝える時 ネガティブな言葉は禁物
高齢者や子どもは「~しないと死ぬよ」という言い聞かせは禁物です。とたんに恐怖を抱いてしまい、後ろ向きになってしまいます。「~したら、けがをしなくてすむね」や、「楽しい旅にするために、何かあった時のことを考えようね」など前向きな言い方を心がけましょう。
旅先で地震が発生したら、テーマパークやショッピングセンター、公共交通機関にいた場合には、職員の誘導に従ってください。どこかを歩いている時だったら、上を見上げて、物が落ちてこない場所に移動しましょう。地震では、物が倒れる、落ちる、移動する、弧を描いて飛んでくることが想定されます。360度、上から下まで見回して、安全な場所を見つけましょう。
海沿いのリゾート地などに出かけていたら、津波の危険もあります。発生時に自分がいた場所よりも、できるだけ高台に避難してください。一時的な緊急避難場所として指定されている「津波避難ビル」には目印がついています。
また、絶対に持ち歩いてもらいたいのは水です。車で移動する旅なら、飲食用と生活用水合わせて1人1日3リットルを3日分積んでおくのが目安です。4人で出かけるなら、36リットルとなります。電車の旅であっても、1人あたり500ミリリットルのペットボトルを2本持ち歩きましょう。私は、普段の外出でも、500ミリリットルを1本持って、半分まで飲んだら新しいものを買うようにしています。災害時には水は真っ先に価格が高騰したり、品切れになったりするので、常備することが命を守ることにつながります。
防災ポーチを作ってみよう
講演で反響が大きいのが、災…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル