日本大学付属病院の建て替え工事をめぐる事件で、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)=背任容疑で逮捕=が設計業者に対し、自身が役員を務める「日本大学事業部」に約3億6千万円を支払うよう要求していたことが、関係者への取材で分かった。金額は業者の懇願を受け2億2千万円に減少。支払先も、事業部だとリベートになるとの指摘があり、医療法人の前理事長側に変更したという。東京地検特捜部が一連の経緯を詳しく調べている。
関係者によると、日大事業部は日大の完全子会社で、井ノ口容疑者は取締役だった。事業部は、板橋病院の建て替え工事の設計・監理業者の選定業務を日大から委託され、2020年2月に、26億6123万円を提示した都内の設計事務所を選んだ。翌3月、値引き交渉の結果、契約金は24億4千万円に決まった。
井ノ口容疑者はこの過程で、設計事務所に15%(約3億6千万円)の「手数料」を事業部に払うよう要求した。事務所側はコロナ禍の不況や人件費や物価の高騰を理由に2億2千万円への減額を求めたという。
顧問弁護士「契約おかしい」
一方で、事業部の顧問弁護士から「受注者からリベートをもらうような契約はおかしい。大学からもらうのが筋だ」と指摘があり、事業部への支払い計画はなくなったとされる。
その後、井ノ口容疑者は、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳容疑者(61)=背任容疑の共犯で逮捕=が出資したペーパー会社に2億2千万円を送金するよう、事務所側に指示。事務所は日大から受け取った着手金のうち2億2千万円を同年8月に送金し、井ノ口容疑者に2500万円が事実上「還流」するなどしたとみられている。
他方、事業部は日大から業務…
【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment