日本のものづくりの極致は…グミ? 松岡さくらと安部若菜が探る起源

NMB48のレッツ・スタディー!経済編⑩ モノの値段はどう決まる?

 人気投資漫画「インベスターZ」にNMB48メンバーが入り込み、経済知識や理解を深める「NMB48のレッツ・スタディー!」経済編。NMB48の安部若菜さん(21)と松岡さくらさん(19)が「インベスターZ」の登場人物たちと一緒に「お金と経済」について考えます。(構成・阪本輝昭)

■松岡さくらさん、グミづくりに挑戦! 味の方は…

 松岡さくら:「わかぽん先輩、グミは好きですか?」

 安部若菜:「グミ? お菓子のグミ?」

 松岡:「そうです」

 安部:「うん、たまに買うよ」

 松岡:「私、グミが大好きなんですよ」

 安部:「そうなん? かわいいね」

 松岡:「大好きすぎて、自分でつくってきちゃいました。わかぽん先輩、よければ」

 安部:「えっ……」

 松岡:「ハート型にしたんですよ。わたし的には、この昆布だし風味がおすすめです。どうぞ」

 安部:「あ、ありがとう。でも今日はやめとくね。明日、東京でライブに出るので……」

 松岡:「どうして、おなかをこわす前提なんですか!?」

 神代圭介(道塾学園「投資部」主将):「なんで自分でつくろうと思ったの?」

 松岡:「毎日お店で買っていると、それなりにお高くつくじゃないですか。私ケチなので、自分で安くつくってみようって」

 財前孝史(投資部員):「そんな理由!?」

 松岡:「調べてみたら、主な材料は水あめ、お砂糖、果汁、ゼラチンだというので。もしかしたら自分好みのグミを低コストで生産できるかな?って」

 神代:「で、うまくできた?」

 松岡:「いやあ、それがやっぱりというか、難しくて。なかなか好みの硬さにならなかったり、味も薄かったり甘すぎたり……」

 安部:「ちょっと、それを私に……!?」

 松岡:「違うんです、これは、たまたまうまくできたやつなんですよ!」

 財前:「実際、お得だった?」

 松岡:「いえ、あんまり。だいぶ失敗作をつくってしまったし。私は果汁のジュレが中に入っているタイプのグミが好きなんですが、それはとても家では再現できなかったし、風味も香りも市販品には遠く及ばないし」

 財前:「市販品をさっさと買ったほうがお得だったと……」

 安部:「グミって本当に種類豊富で、食感もいろいろだよね。最近は高級志向の商品も出ているし。風味や食感をよくして、安定して生産するためのコストも考えると別に高い値段じゃないよね。商品の値段には、材料費だけじゃなくて、いろいろなものが乗っているからね」

 松岡:「改めてそう思いました。付加価値って目に見えないものがありますもんね」

ドイツ発祥の「グミ」…当初は「面白商品」扱い!?

 神代:「安部さんは買い物をするときに何を重視するタイプなの?」

 安部:「お買い物をするときは、価格よりも自分の感性を大事にする方だよ。いいと思ったものは、どんだけ高くても買うし」

 財前:「あれ、意外……」

 安部:「アイドル活動においては『コストパフォーマンス』も多少考えるけどね。やみくもに全部頑張ろうとするんじゃなくて、努力の方向性を、自分の能力を生かせる分野に振り向けたいという意味で、だけど」

 神代:「グミってもともとは100年ほど前、ドイツ発祥のお菓子といわれているよ」

 松岡:「えっ! 日本生まれのお菓子だと思っていました。『ぐみっ』としているし」

 神代:「ドイツ語でゴムを意味する『Gummi』が由来だとされていて、その名の通り、子どもの歯を丈夫にする効果もある、硬いゴムのような食感だったみたいだよ」

 安部:「それを日本に持ち込んだ人がいるわけね? なかなかの冒険だったんじゃない。ヨーロッパに比べると、日本は硬い食べ物に慣れていないし……」

 神代:「菓子大手の『明治』が1980年に発売したコーラ味の『コーラアップ』が日本における初のグミ製品といわれているね」

 松岡:「40年以上も前なんですね。それ以前は日本にグミはなかったんですか?」

 神代:「1990年9月22日の朝日新聞記事によると、それ以前にも動物などの形をしたグミがわずかに輸入されていたが、『あくまで面白商品のような扱いだった』と。でも、『明治』の担当者が『欧州であれだけ定着しているのだから』と試行錯誤を繰り返し、製品化にこぎつけた……とある」

 安部:「日本人好みのやわらかい食感がプラスされたことで、普及の糸口ができたのね」

 神代:「でも、当初は子ども向け商品にとどまっていた。『明治』のサイトによると、グミ市場を一気に拡大させたのが『果汁グミ』の登場(88年)。果物のさわやかな風味を再現したことに加え、材料成分の配合の工夫などで、『弾力があるのに歯切れがいい』という絶妙な食感を実現させた、とある」

 安部:「子どもだけじゃなく、中高生や若い世代にも広まったんですね。万人に好まれる『かみ心地』に行き着くのって、すごく繊細な作業の積み重ねだったんだろうな。でも、そこで突破口が開けたおかげで、今では様々なメーカーのいろんな種類、多様な食感のグミを私たちは楽しめているのか……。今では、かみごたえのレベルが表示してあるグミなども登場していて、自分の好みの食感を選べるのも便利だよ。グミは現在でも日々進化しているね」

 松岡:「わたし、『コロロ』(UHA味覚糖)というシリーズも大好きなんですよ。本物の果物みたいなプルプルした食感で。でも、それは日本のメーカーが長い時間をかけて積み上げてきた技術の結晶だったんですね。それを百数十円というお安い値段で買わせてもらって、すみません……」

海外製品を日本流にアレンジ…ものづくりの源流は鉄砲伝来?

 安部:「さくらちゃん、グミを自家製したときの勢いはどこにいったの……」

 松岡:「……」

 安部:「何、メモしてるの?」

 松岡:「私の日本史ノートです。『1980年、グミ伝来』と」

 財前:「『1543年、鉄砲伝来』みたいに書くね……。あっ、そういえば」

 安部・松岡:「なになに?」

 財前:「社会の野々村先生が以前、『日本のものづくりの原点は鉄砲伝来にあり』と言っていたなあ。グミの話を聞いて思いだした」

 安部:「『インベスターZ』12巻に出てきたエピソードだね。どういう関係が?」

 財前:「種子島の領主・種子島時尭(ときたか)がポルトガル人から鉄砲を手に入れた際、分解用の1丁を含めて『2丁』購入したおかげで、鉄砲の機構が解明され、日本はわずか数年で国産鉄砲をつくる技術をもつまでになったという話」

 神代:「外国の文物に驚き、そのメカニズムを知りたいと願う。研究を重ねて仕組みを解き明かし、最終的に日本流にアレンジして定着させてしまう――。それが日本のものづくりの特徴であり、伝統だって話だったよね」

 松岡:「蒸気機関も忘れないでくださいね。ペリー来航(1853、54年)で蒸気機関のすさまじいパワーをみせつけられたあと、すぐに日本各地で小さな蒸気船蒸気機関車のひな型がつくられ始めているのでね」

 安部:「グミが日本で商品化されたのも、『欧州であれだけ定着しているのだから』と熱心に研究を続けた人たちの存在があってこそだもんね。すべての源は情熱だなあ……」

 松岡:「情熱! そうか、情熱が大事なんですね。情熱さえあれば、私のつくるグミも、わかぽん先輩に食べてもらえるレベルにまで高められるかも……」

 安部:「さくらちゃん、まだあきらめてなかったんだね!?」

 松岡:「わかぽん先輩との距離をもっと縮めたいので」

 安部:「ほかの方法じゃだめなのー?」

「原価」ってそもそも何? 商品の価格を決める要素をかんたん解説

 追手門学院大の宮宇地俊岳・准教授が各回のカギとなる経済用語を解説します。

     ◇

 グミは、近年、やわらかいもの、硬いもの、ちぎれるもの、果汁のジュレが入っているもの、栄養サプリの役割を果たすもの……など種類が豊富になり、製品として付加価値を増し、価格帯が上がりつつあるお菓子です。

 そこで、グミを例にとって、製品を製造するうえでかかる原価(コスト)と、販売価格・利益とは、どのような関係があるのかについて考えてみましょう。

 製品を製造するうえでかかる原価の構成要素は、材料費・労務費・経費の三つに大きく分かれます。

 材料費は、製品を製造するために物品を消費することによって生じる原価で、一般的に製造原価の約50~60%を占める重要な原価要素です。グミであれば、砂糖・水あめ・ゼラチン・果汁などを製造プロセスに投入することによってかかる原価です。

 労務費は、製品の製造・加工に関する従業員の労働への対価で、労働サービスの消費によって生じる原価です。工場で働く従業員への基本給・手当・賞与や社会保険料などが該当します。

 経費は、材料費・労務費以外の原価要素のことで、外注加工賃(製造工程の一部を外部の業者に外注した場合の代金)や、電気・ガス・水道代のほか、機械設備の減価償却費(建物や設備の購入費用を複数の年度に分けて負担する費用のこと)などからなります。

 あめやグミを製造している…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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