ワクチンの世界的な争奪戦が過熱するなか、日本政府も確保の取り組みを進めている。国内製薬企業による開発を後押しするほか、実用化へ先行する米英の製薬大手2社とも供給の基本合意を済ませた。さらに複数国でワクチンを共同購入する枠組みにも参加を検討しており、調達先の多様化を急いでいる。 政府は7月31日、米ファイザーから、開発に成功した場合来年6月末までに6000万人分の供給を受けることで基本合意した。接種回数は2回で、計1億2000万回分となる。 さらに今月7日には、最も開発で先行するとされる英アストラゼネカからも1億2000万回分の供給を受けることで合意した。うち3000万回分は来年3月までに受ける予定で、接種回数は1回もしくは2回。加藤勝信厚生労働相は「引き続き他のメーカーとも協議を進めたい」と語る。 ワクチン開発は難しく、入手確率を上げるには投資先を増やす必要があるが、1カ国では限界がある。そこで浮上しているのが複数国で出資する国際共同購入の枠組みで、日本政府も参加を検討している。 枠組みはワクチンの公平な普及に取り組む国際機関「Gavi」などが提唱。来年までに20億回分の確保を目指して制度設計が進んでいる。 参加国は一定額を事前拠出し、その資金をもとに製薬企業がワクチンを開発する。成功した場合、参加国は人口の20%を上限にワクチンを受け取ることができる。購入候補となるワクチンは9種で、うち7種が臨床試験に入っている。 世界的に公平な分配を実現するため、資金は途上国へのワクチン配分にも用いられる。参加表明の期限は今月末で、日本など75カ国が参加に関心を示しているという。(千葉倫之)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース