All Nippon NewsNetwork(ANN)
新型コロナウイルスに感染した人のうち、98%の人の体内に半年後も、ウイルスの動きを阻止できる抗体が残っていることが横浜市立大学の調査で分かりました。今回の中和抗体調査のリーダー、横浜市立大学の山中竹春教授に話を聞きました。 (Q.抗体が半年後も残っていたということは、一度かかった人は、少なくとも半年間は感染しにくいということですか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「中和抗体を持っている人は、ウイルスが細胞に入ることをブロックする、すなわちウイルスブロック力が高いと考えられます。ウイルスブロック力が高いということは、再感染する確率は低いと考えられます」 (Q.中和抗体の種類はどれくらいありますか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「抗体自体は非常にたくさんあります。人が新型コロナウイルスに感染すると、かなりの種類の抗体が作られ、そのなかの一部がウイルスの動きを阻止できる中和抗体であると考えられます」 (Q.今回の調査のなかで、中和抗体は特定できましたか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「すべてではありませんが、恐らく中和抗体の一部であろうというものに関しては分かりました」 (Q.中和抗体以外の抗体はどんな役割をしていますか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「中和抗体以外の抗体は、まずウイルスにくっつくということは分かっていますが、どういう機能を持っているのかが分からない抗体が多いです」 (Q.調査した376人のうち、無症状・軽症の人は97%、中等症・重症は100%、全体で98%の人が中和抗体を保有していたという結果が出ましたが、この数字は予想していましたか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「全く予想しませんでした。海外からの報告だと、中和抗体が減るという報告が多かったので、50%や70%といった割合にとどまるのではないかと思っていました。日本人のデータでは、ほとんどすべての人が中和抗体を持っていたというのは大変な驚きでした」 (Q.日本人からデータを取れたのは大きいですか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「これまで海外からの報告が多かったのですが、きちんと論文等を読んでみると、研究のあらというか、これでは結論ができないだろうという研究が多かったです。それらがインターネットで拡散され、世論が形成されてしまうということもありました。日本のデータをつぶさに取って検討することにより、今回、日本人で6カ月後に免疫が残るということが分かったことは良かったと思います」 (Q.中和抗体を持っている人は、持っていない人に比べてどれぐらい感染しにくいですか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「中和抗体を持っている人は、持っていない人と比べると、再感染するリスクは低いということが理論的には言えますが、実際の再感染率のデータはまだありません。これから継続的にデータを取っていく必要があります」 (Q.中和抗体が半年以上残っている可能性はありますか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「半年以上に関しても、現時点ではデータがありませんので、日本のデータを取っていく必要があります。世界的にも半年を超えてどれくらい残るかに関しては、ほとんど報告がないと思います。我々としては、今回参加して頂いた人を対象に、12カ月後も採血をさせて頂いて、中和抗体がどうなるのかを調べる予定です」 (Q.今回の調査では、症状が重かった人ほど感染を防ぐ能力が強いという結果でした。この結果についてどう見ていますか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「平均的には、軽症よりも中等症、中等症より重症の人の方が中和抗体の強さが上がっています。ただ、同じ症状のなかでも、かなりばらついています。無症状の人でかなり高い中和抗体を持っている人もいますので、個人差が大きいのではないかと考えています」 (Q.今回の調査で分かったことが、ワクチン開発につながる部分はありますか?)
横浜市立大学・山中竹春教授:「今回のデータは、日常生活のなかで感染する“自然感染”した人の免疫を調べています。ワクチンも投与することによって免疫を作りますが、自然感染の免疫とワクチンで作られる免疫は同じものではありません。ですので、今回のデータがすぐにワクチンの有効性などに反映できるかというと、検討を要するところです。ただ、ワクチンで作られる免疫が自然感染例の免疫を大きく上回ることはなかなかないと思いますので、自然感染例の免疫が1~2カ月でなくなってしまう状態だったとすると、ワクチンの有効性についても心配がありました。今回、自然感染例の免疫が6カ月残るということが分かったので、ワクチンの開発にも期待が持てるデータだと考えています」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment