英語で日本を語り、日本人の代表になれる国際人を育てる-。そんな理念のもと、清風中学校・高等学校(大阪市天王寺区)に創設された「国際コース」が、2年目を迎えた。中高一貫コースで2年半にわたって英語と日本の文化や社会を学び、さらに21カ月の海外留学がある全国的にも珍しいカリキュラム。1期生、2期生の全員が、米文化の原点といえる「お田植え祭」を、初めて体験した。
米作りに関する神事と田植え、生産者らとの対話による座学を通して理解を深める試み。田植えは22日、岡山県倉敷市にある無農薬無肥料の自然栽培農園で行われた。食育を重視し、この農園の米を学食に導入している縁で実現した。
当日は神事に続き、生徒たちが素足で泥の中に踏み込んだ。大人に交じって苗を手植えし、生産の苦労を実感。1年生の一人は「タニシの感触が足に伝わってきた」と目を輝かせた。
座学では、農園のスタッフらから自然栽培の意義や利点、苦労話などを学習。「なぜ等間隔に苗を植えるのか」「なぜ肥料をやると稲が弱くなるのか」などと、熱心な質問が飛びかった。
国際コースの定員は1学年5人だが、現在在籍しているのは1期生、2期生が2人ずつ。その理由について、「定員ありきではなく、成績を勘案した結果」と鎌田隆・国際コース部長が説明する。
もともと「国際的リーダーを育てたい」という平岡弘章・副校長の思いから創設されたコース。伊藤博文ら日本初の欧米留学生「長州5(ファイブ)」にあやかろうと設定した定員5人「清風ファイブ」だったが、日本の代表として送り出せるレベルに達しているかを優先しているためだ。
提携校は米英など5カ国にあり、中3になると希望校に英語のエントリーシートを提出。さらに英語での面接を経て留学の合否が決まる。このため英語は、この難関に対応できる特別なカリキュラムが組まれている。
日本の文化を学ぶことも重視。能・狂言や禅などに常に接し、茶道には特に力を入れる。茶道部の部活だけでなく、月1回京都の表千家から講師を招き、歴史や作法などを学んでいる。
自身の留学時に、いかに日本のことを知らずにいたかを痛感したという平岡副校長は「留学先で生徒は、日本の代表として周囲の生徒の刺激にならなければいけない」と日本文化を学ぶ意義を強調する。
清風ファイブの1期生が、海外へはばたくのは来年7月だ。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース