大出公二
不適切な接待や部下へのパワハラについて、誤った認識で不当な処分を受けたとして、囲碁の公益財団法人・日本棋院元役員の棋士が、処分した日本棋院(小林覚理事長)を相手取って慰謝料1500万円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟の判決が27日、東京地裁であった。桃崎剛裁判長は原告の主張を退け、訴えを棄却した。
判決によると、元役員は、日本棋院常務理事だった2012~16年、韓国出張の際に取引先企業から性的サービスを伴う店で複数回の接待を受け、同席を望まない部下の男性を同席させて「面倒くさそうな顔するなよ」としかった。取引先の来日の際にも男性を接待の場に同席させ、数万円負担させることもあった。
男性は日本棋院職員労組にパワハラを受けたと訴え、18年、同労組が棋院に告発。棋院は第三者を交えた調査を経て19年、元役員に厳重注意した。
元役員は取引先との会食は「私的な関係に基づくものにすぎず、内容も問題視されるものではない」などと処分不当を主張したが、桃崎裁判長はこれを認めず、不適切な接待を受けたことと部下へのパワハラは「理事としての善管注意義務違反にあたる」として、棋院の処分は「是正措置として相当」と結論づけた。
日本棋院の小島文男事務局長は「司法の良識なる判断が示されたと考えている」と話した。元役員は「不当な判決なので控訴する予定だ」と話した。(大出公二)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル