里見稔
海の上に山脈? 15日昼すぎ、新潟県からのぞむ日本海上に山脈の稜線(りょうせん)が広がるような光景が出現した。線はでこぼこしていて水平線ではなさそう。一体何なのか。
15日午後1時すぎ、同県阿賀野市から新潟市街地へ磐越道を北上していた時だった。日本海があるはずの前方に、山脈の稜線のようなものが見えることに気づいた。
海の上に山脈などあるわけがない。気になって、途中のインターの料金所で係員に聞いてみた。「あれは佐渡島でしょう」とにっこり。「なるほど」と思いスマホの地図を係員と確認すると、島とは少し方角がずれていた。「まさか日本海の先のロシアが見えているのしょうかね。初めて見ました」と戸惑い気味だった。
新潟地方気象台に電話をして、空を見てもらった。担当者によると、低い高度に大きな塊が広がった「層積雲」が、佐渡島よりさらに北の沖に広がったものだという。15日は北から入ってきた冷たく湿った高気圧の上に乾燥した空気が乗り上げ、大気の層ができた。その境界線が「山脈の稜線」になったとみる。
層積雲自体は春や秋によく見られる雲だが、こうもくっきりと線が見えるのは「珍しいですね」と担当者。海上かつ風が強くなかったなどの条件が重なったことが要因とみられる。ちなみに、新潟からロシアを見通すことは「通常はありえない」(同)という。
日本海に広がる「山脈の稜線」は、2時間も経たないうちに姿を消して晴れ間に変わっていた。(里見稔)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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