「在留資格」のない外国人のことを知っていますか。出入国管理法(入管法)に違反しているため、政府は「不法残留者」などと呼んでいますが、彼らはどういう経緯で日本に来て、なぜとどまっているのでしょうか。いま、国会で審議中の入管法改正案はこうした外国人の状況を大きく変える可能性があります。
出稼ぎの親と隠れて生きる「私、いるよ、日本にいたいよ」
6歳のとき、イランから両親や2人の弟と一緒に日本に来ました。バブル景気が崩壊した1991年のことです。出稼ぎに来たことは、子ども心に分かっていました。父と母は電気製品の部品工場で働いていましたが、観光ビザの滞在期間を超えると、家族は皆、在留資格のない「オーバーステイ(超過滞在)」になりました。
小学校には行けず、家の前の公園で弟たちと目立たないように遊んでいたのですが、そのうち子連れのお母さんたちが、お菓子やヤクルトを分けてくれるようになりました。友だちもでき、ひらがなやカタカナも覚えました。日本語が話せるようになったのは、あの公園のおかげです。
ふつうなら4年生になる年齢で、小学校3年生に入学できたのですが、勉強をがんばろうという思いはとても強かったですね。「オーバーステイで良くないことをしているから、他の部分では日本の人に恥ずかしくないような生活をしないといけない」とずっと思っていました。
在留資格ってなんだろう
「外国人は厳しく取り締まるべきだ」と思っていましたが、日本生まれの小学生が見たこともない「祖国」に送還される姿を目の当たりにし、疑問を持ち始めました――。 そう語るのは、元入管職員で退職後に「未来入管フォーラム」を立ち上げた木下洋一さん。記事後半で入管行政の問題点を聞きました。
中学3年の夏、家族で出頭し…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル