田中久稔
千葉県君津市にある日本製鉄東日本製鉄所君津地区で2019年2月~22年4月、東京湾に面した排水口から有毒物質のシアンが計39回検出されたが、同社はいずれも県に報告せず、公表もしていなかったことが18日わかった。東日本製鉄所の谷潤一所長が同日会見して明らかにし、「不適切だった」と謝罪した。
同社と県によると、シアンは環境基準では1リットルあたり0・1ミリグラム未満の「不検出」が義務づけられているが、19年2月~22年4月に、特定の排水口での400回超の測定で39回検出されていた。いずれも県などの行政機関に報告していなかった。
検出されたシアンの最大値は、19年2月5日の同0・6ミリグラム。同社は同28日に採取し直し、県に「不検出」と報告していた。
同製鉄所では今年6月、生産工程で生じる「脱硫液」が敷地外に漏れるトラブルがあった。近くの川で大量の魚が死んでいるのが見つかり、県の調査で周辺の水路からシアンも検出された。県の行政指導を受け、同社が過去の検査結果を調べていた。
県によると、19年以降、近隣でのシアンによる健康被害は確認されていない。
谷所長は「ご心配とご迷惑をおかけしており、深くおわび申し上げます。原因究明と再発防止に徹底して取り組んで参ります」と陳謝した。(田中久稔)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル