日米貿易協定の国会審議が充実しないまま、19日に衆院本会議での採決を迎える。相次ぐ閣僚の辞任、要求資料の提出に応じない政府・与党に対する野党の反発などで攻防は激化したが、衆院外務委員会での採決は与野党全員の出席で静かに行われた。国会運営を巡る駆け引きの材料となったことも審議充実につながらなかった一因で、政局を重視した野党側にも課題を残す結果となった。
今国会は、閣僚辞任や英語民間試験を巡る混乱など、政権の不手際が相次いだ。野党側の国会対応を仕切る立憲民主党の安住淳国対委員長は、これらの問題を重く見て、安倍晋三首相出席の予算委員会開催を要求し、民間試験は延期に追い込んだ。日米協定の審議も、こうした与野党対立の中で2度延期。審議が正常化した後は、要求資料の提出を拒む政府・与党に反発し、野党側が相次ぎ退席するなど一時は激しい攻防が続いた。
ただ、野党側は13日、審議の終了に応じ、本会議採決までの日程も受け入れた。首相主催の「桜を見る会」の追及に手応えをつかんだことなどが背景にあるとみられる。
衆院外務委員会での審議時間は11時間にとどまった。環太平洋連携協定(TPP)で70時間以上、米国抜きのTPP11でも20時間以上だっただけに、少なさが際立つ。野党内には「協定を取引材料にするなら、協定の審議そのものを充実させるための駆け引きも重視すべきだった」(農林幹部)と、疑惑追及に終始した対応を疑問視する声もある。
「桜を見る会」などを巡り、野党は攻勢を強める構え。協定の審議を埋没させず、徹底論戦に持ち込めるかどうかが問われそうだ。
日本農業新聞
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース