韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定し、両国の情報共有に支障が生じる事態は避けられなくなった。日本政府は日米韓3カ国の連携が崩れかねないことも懸念するが、過剰に反応すれば主導権を握りたい韓国側を利するため、冷静に対処する構えだ。
「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領のこれまでの流れで言うと、だめだろう」
日本政府高官は22日夕に韓国政府が協定破棄を発表する直前、周囲に冷めた表情でこう語った。21日には中国で河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が会談したが、両国の利益に沿う結論にたどり着かなかった。
北朝鮮が7月下旬以降、短距離弾道ミサイルなどを発射し、軍事的技術を高めているとみられる中、日韓両政府は協定に基づき綿密に情報を交換してきた。北朝鮮に隣接する韓国側の情報は日本にとっても有益だが、自衛隊のレーダーが捕捉するミサイルの軌道や着弾の情報は韓国にとっても有用だ。一連のミサイル発射で韓国軍が飛距離を訂正した際には日本の情報も得て結論を導き出したとされる。
河野氏は22日夜に談話を発表し、「協定の終了を決定したことは、現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず、極めて遺憾だ」と韓国側の対応を非難した。
協定破棄によって日米韓の連携にも亀裂が入る可能性がある。米軍が自衛隊や韓国軍の機密が含まれる情報をそれぞれに提供する際に、その機密部分を隠す手間が生じるためだ。ただ、日本政府が米国からもたらされる情報に重きを置く姿勢に変わりはなく、日本政府高官は「日本が慌てふためく必要は全くない」と冷静に受け止めている。
そもそも、韓国側が協定破棄を検討し始めたのは、日本が輸出管理の優遇対象から韓国を除外したのがきっかけだった。通商をめぐる不満を安全保障分野に持ち込むのは筋違いで、河野氏は談話で「韓国側の主張は全く受け入れられず、断固として抗議する」と批判。さらに「日本政府は一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に賢明な対応を強く求めていく」と協定破棄にも動じない姿勢を鮮明にした。(力武崇樹)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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