日野市「園児虐待・改善勧告に従わず」と保育園名を公表 園側は否定

 園児を虐待したとして再発防止を求める改善勧告をしたにもかかわらず、従わなかったとして、東京都日野市は16日、子ども・子育て支援法に基づき、対象の園と運営法人の名前、認定した行為を公表した。市の認定では、職員1人が複数の園児をたたくなどの行為を繰り返していたという。一方、園側は取材に虐待の事実を否定した。

 公表されたのは同市の認可保育所「吹上多摩平保育園」と、同園を営む社会福祉法人「吹上会」。市の認定では2021年度、同園の職員1人が複数の園児に虐待行為をした。この職員は現在も同園に勤務している。職員の性別や年齢などは公表していない。

 具体的には、言うことを聞かないとして全身を締め付けたり、たたいたりする▽「いい加減にしろ」と怒鳴りつけたり、「早く人間になれ」などと威圧的な言動をしたりする▽女児をひざに乗せて抱きしめるなど過剰・不当な接触をする▽ほかの児童が外で遊ぶ間、懲罰と称して1人で部屋に放置するなど。施設長兼理事長についてはこうした行為を知りながら、この職員に対する指導や処分を適切に行わなかったとした。

 市はこれらの行為を認定したとして、7月22日付で同園に改善勧告をした。児童に対する虐待防止のために適切な措置を講ずることや、人権に配慮し、人格を尊重した保育を行うことなどを求めた。園側は市に対し、虐待の事実を否定。一方、市はその後、同じ職員が大声で怒鳴りながら園児の体を強く締め付けて押さえ込むなどの行為を勧告後も複数回したと認め、改善が図られていないとして12月16日、施設名などを公表した。

 市によると、情報を把握したのは定期的な実地指導で職員らに個別ヒアリングをした今年3月。その後実施した、園児の保護者への聞き取りなどももとに行為を認定した。市は刑事告発も検討している。また10月には、職員らの署名・押印入りの書面が園側から提出されたことを確認した。虐待をしたとされる職員やその他の職員へのヒアリングの中止を求める内容だったが、市側はこのうち複数の職員の署名や押印については、本人たちの意に反したものだったとしている。

 園の代理人弁護士は16日、朝日新聞の取材に応じ「園は虐待の事実をいずれも否定している。場合によっては市と訴訟で争うことも検討する」と話した。

 市によると、同園は2008年に開園。定員は120人で、現在0歳~5歳の園児95人が通っている。

 子どもを同園に預けている30代の男性は、「虐待があったなら大問題で、二度とあってはならないことだ」とした上で、「保育園側と市側の説明が異なっていて、早く真実をはっきりさせてほしい。長引けば心配も解消されないし、預け続けていていいのか判断できない」と話した。平山亜理、比嘉展玖)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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