旭日小綬章の泉ピン子さん(72)
「ピンからキリまでのピン(一番)になれ」。印象的な芸名をつけたのは、浪曲師だった亡き父だ。「芸名は父が残した中で、傑作。今回のことを、いちばん喜んでくれているんじゃないかと思います」
東京都出身。18歳で歌謡漫談家としてデビューし、ワイドショーのリポーターとしても活躍。俳優へと活動の幅を広げると、テレビドラマを通じてお茶の間に感動や共感を巻き起こしてきた。特に、脚本家・橋田寿賀子さんの作品にはなくてはならない存在に。「おしん」の娘への愛情あふれる母親役、「渡る世間は鬼ばかり」のしゅうとめにいびられる嫁役は、本人の代名詞でもある。
演じるうえで大事にしてきたことがいくつかある。衣装はできたら自前のものを使うと感じが出ると故・杉村春子さんに教わった。演技は1回で決める。そして、泣きの芝居で流すのは、本当の涙。「今までに何百回と泣いてきた。(悲しみを想像する中で)何人殺してきたかわからない」と話す。
今後について尋ねられると、ほほえんでこう答えた。「役者は何をやるかというより、待つことが仕事ですから」(黒田健朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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