大阪府岸和田市の中学1年、鞍井希凪(くらいきな)さん(12)は専門家も一目置く「昆虫ハンター」。網を使わず、もっぱら素手で目的の昆虫を手に入れる。家族に虫好きはいない中、「ハンター」はどのように生まれたのだろう。
2021年7月。小学5年生だった鞍井さんは同市隣の同府貝塚市にある市立自然遊学館に、野外で採集したクマゼミを持ち込んだ。
「雌雄モザイク」と呼ばれるオスメスが半分ずつの個体だった。「恐ろしいものを持ってきたと手が震えました」。同館博士研究員の天満和久さん(53)は振り返る。
飼育されたカブトムシやクワガタで見つかることはあるが、野外採集のセミは極めて珍しい。さらに、「飛び方が下手で降下するようだったから捕まえた」という着眼点に驚いた。頭の中に、昆虫の住環境や食性、特徴のデータが系統だって入っていた。
新型コロナ禍のため、図鑑と向き合い、身近な昆虫を採り尽くす日々がそうさせたようだ。ネットで専門性の高い情報や論文にアクセスするなど、情報化社会の恩恵を存分に活用してもいた。
ともに活動するうち、鞍井さ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル