辛子明太子(めんたいこ)の製造販売で知られるやまや(福岡市東区)が、今年からコメ作りに乗り出し、初の収穫期を迎えている。農家の高齢化で耕作できなくなった田を借りて作り、自社グループの飲食店で使う試みだ。現場は3年前の九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市。被災による離農もあって担い手不足に悩む地域で期待と注目を集めている。
山裾のなだらかな斜面に田畑が広がる朝倉市烏集院(うすのいん)。7日、4反半(約45アール)ほどの田にたわわに実った稲を大型コンバインがうなりをあげて刈り進めていた。やまや社員の梶原裕太さん(25)は運送の準備をしながら「どんどん育っていくのが楽しみでした。収穫はワクワクします」。
初挑戦の今年、計約5町(5ヘクタール)にヒノヒカリなど3品種を植えた。長雨や台風に見舞われるなど、いきなり自然の厳しさに直面し、350俵(約21トン)ほどを見込んでいた収穫量には届かない見込みだが、各地で発生した害虫被害にも遭わず、おおむね順調に実ったという。
田の所有者は地元の農家。十数年前に20人余りで農業法人をつくり、農機を共同購入して田植えや稲刈りなどを共同で進めてきた。だが、みな高齢となり後継者もおらず、昨秋の収穫を最後に事業を休止、今年7月末に解散していた。参加していた農家の男性(76)は「使わなくなった農地は荒廃し、集落にもイノシシやシカが出放題となると心配していた。若い人がコメ作りを引き受けてくれてありがたい」と喜ぶ。田の賃料も貴重な収入だ。
両者を引き合わせたのは、地元…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル