1872年に日本で初めて鉄道が開業した際に造られた「高輪築堤」の遺構が8日、東京都港区のJR高輪ゲートウェイ駅近くで報道各社に公開された。
JR東日本と港区教育委員会によると、高輪築堤は、海の浅瀬に盛り土をして石垣で固めた幅約6・4メートルの堤で、その上を列車が通っていた。8日公開されたのはその一部だ。
1870年の着工で、現在の田町駅付近から品川駅付近までの約2・7キロにわたり造られた。当時の兵部省が陸寄りの土地を走ることに反対し、海上ルートになったという。当時の錦絵にも海上を走るような様子が描かれているが、明治末期以降に埋め立てられた際に撤去されたと考えられていた。
2019年4月、品川駅の改良工事の際に石垣の一部が見つかり、20年7月にJR東が再開発を予定している高輪ゲートウェイ駅付近でも出土した。現在、約770メートルの遺構が確認されているという。
JR東は港区教委と調査を続け、一部の現地保存や移築を検討している。JR東の担当者は取材に対し「明治初期の鉄道の歴史を後世に継承できる、大変意義深いものと考えている」と話す。
鉄道ファンらの関心も高く、10~12日に行われる見学会には、定員計300人に対し、はがきで1978枚の応募があったという。(一條優太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル