岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を掲げ、東京都や福岡市といった自治体レベルでも「所得制限なしの子育て支援策」を拡充する動きが相次いでいます。全国に先駆けて「所得制限なし」の子育て支援をとり入れ、出生率の改善などにつなげてきた兵庫県明石市の泉房穂市長は「政府に、まずは最低ラインとしての取り組みを見せてほしい」と話します。どんなことを求めているのでしょうか。
明石の事例は「最低限」
――岸田首相の年頭会見で「異次元の少子化対策」が打ち出され、子育て支援策の拡充が注目されています。どう見ていますか。
「これまで、日本の子育て支援策はまったくといっていいほど足りていませんでした。その意味では、評価できることだと思います。
これまで明石市では、所得制限なしで第2子の保育料無償化、18歳までの医療費ゼロ、おむつの宅配サービスなどの支援策を拡充してきました。これを、『進んでいる』と評価をいただくことも増えましたが、これは『最低ライン』だと思っています。
岸田首相が『異次元』という言葉を使いましたが、そもそも、まずは『最低ライン』にしましょうよ、ということは伝えたいです」
独自の子育て支援策を次々に打ち出し、全国的にも注目されてきた兵庫県明石市の泉房穂市長。かねて子どもへの支援の拡充を訴えてきた泉市長に、「異次元の少子化対策」の評価を聞きました。記事の後半では、少子化対策に欠かせないいくつものポイントについて、語ってもらっています。
――児童手当の拡充も話題となっていますが、望ましい支援のあり方とは。
「今の児童手当は必要だけれども、決して十分ではないというのが私の考えです。
具体的には、三つの課題があります。『所得制限』『年齢上限』『支給額』です。
まず、子どものための支援として考えるのであれば、所得制限は付けるべきではありません。
また、現行は中学生までですが、これも十分ではない。せめて、18歳までは支給するべきだと考えます。
さらに、現状の額についても、2倍以上に引き上げることが望ましいと考えています。
いま、子育て世帯でしんどさを抱えているのは、特に中間層です。お金を使いたくても、経済的に苦しくて使うことができない。こうした世帯の負担軽減をはかっていくことが、少子化対策でもあり、経済対策にもつながります」
支援を拡充する際、課題になってきたのが「財源」。明石市では、この財源問題をどうクリアにしてきたのか。考え方のポイントも聞いています。
負担増は、政治じゃない
――給付を拡充する際には、必ず「財源」の課題も指摘されます。拡充する場合の財源について、考えを聞かせてください。
「負担増ありきで話を進める…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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