ひっそりと現役を退いた懐かしい通勤電車などをデジタルで残そうとJR東日本が試みている。従来は写真や図面でしか残せなかったものでも、床の油染みやドアの開閉音といったリアルさまで追求できる。目指すのは、保管スペースのいらない「バーチャル鉄道遺産」だ。
東京駅では今年2月下旬、AR(拡張現実)技術を使って古い鉄道車両を「体感」できるイベントがあった。
駅前広場でスマートフォンをかざすと、旧国鉄時代の近郊型電車の代表格とされた「115系」が画面に登場。近づいたり、回り込んだりできる。車体を覆うオレンジと緑の「湘南カラー」は少しくすみ、触れる距離まで近づくと、車内の風景に切り替わった。青いシートはくたびれ、床には油染み。車窓越しには、現実の東京駅舎のドーム屋根が見えた。
JR東日本イノベーション戦略本部で企画を担当した佐藤勲・元ユニットリーダーは「目が肥えた鉄道ファンにも納得してもらえるリアルさのはず」と自信をみせる。
モデルとなったのは1977…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル