原爆を開発した米国人物理学者の半生を描いた映画「オッペンハイマー」が、29日から日本で公開される。原爆を落とされた広島、長崎の惨状を伝える描写がないことに批判がある一方、アカデミー賞7部門で受賞するなど世界で注目を集めている。被爆地であった試写会などで鑑賞した人はどう受け止めたのか。(寺島笑花、黒田陸離、花房吾早子)
「率直に反発を感じた」。長崎であった試写会を終え、被爆者の川野浩一さん(84)は、そう述べた。
オッペンハイマーが原爆投下後の被害を知って苦悩する場面はあったものの、被爆者の苦しみはほとんど描かれなかった。川野さんは「基本的には米国の勝者の喜びが表れていた」と捉えた。「彼らの歓喜の半面、広島・長崎でどんな悲劇が起きたか。観客には、今なお苦しみ続けている人々に思いをはせてほしい」
一方、被爆者で医師の朝長万左男さん(80)は「オッペンハイマーのセリフの中に、被爆の実相にショックを受けたことが込められていた」と評価する。
昨年11月、朝長さんら長崎…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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