29日付で発令される「春の褒章」が発表され、栃木県内からは15人が受賞する。内訳は、緑綬褒章1人▽黄綬褒章4人▽藍綬褒章10人。緑綬褒章を受章する刑部(おさかべ)久子さん(73)に喜びの声を聞いた。
JR宇都宮線、自治医大駅構内に飾られている色とりどりの生け花。30年以上提供を続ける独創的な作品は、駅利用客に癒しを与えてきた。「こんなに素晴らしい表彰を私が受けていいのかという思い。地域の皆さんのおかげ」と笑顔で語る。
子供のころから花が好きで、高校の部活で生け花を始めた。就職先の会社で偶然、現在も所属する「草月(そうげつ)流」の指導者と出会い、その自由な作風に魅了されて入門。自宅で教室を開いて生徒を指導しつつ、作品作りに没頭する日々を送ってきた。
作品の提供を始めたのは駅が開業して間もない昭和61年。当時はまだ利用客が少なく、駅の発展に貢献したいと考えたからだった。「来る人の心が和らげば」との思いを込めた作品は、徐々に利用客から認知されるように。提供を始めて30年以上、駅に花を絶やしたことはない。
「花を見て元気が出たという通勤客や、花の前で子供の成長記録を撮影していたという家族もいた。多くの感謝の言葉のおかげで続けられた」
雅号は郊舟(こうしゅう)。自宅の庭に生える花や近所で拾ってきた木の枝など、身近な素材を利用しているのが作品の特徴だ。自分の感性の赴くままに、色を塗ったり、組み合わせたりして1つの作品にしていく。
「草月流は個性を大切にし、どんなものでも自分なりに作品にできる。だから50年以上やっていても飽きない」。その独創性が評価され個展を開いたほか、海外での指導経験もある。
今後の目標は「体力と気力がもつ限り、生け花を続けること。大好きなことだから」。精力的な活動は今も続いている。(根本和哉)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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