伊藤秀樹
昨年7月に熊本県南部での記録的な豪雨によって氾濫(はんらん)した球磨(くま)川水系の治水をめぐり、国土交通省は6日、洪水時の最大流量を同県人吉市で毎秒7千トンとする想定を毎秒8200トンに見直す案を同県などに示した。蒲島郁夫知事は6日、この案を受け入れる考えを示した。国交省は新たな想定に基づいて河川整備基本方針を見直す方針で、最大支流の川辺川に整備をめざす流水型ダムの規模などを決める前提にもなる。
河川整備基本方針は治水の長期目標を定めるもので、球磨川水系の現行方針は2007年に策定された。人吉市の基準地点で最大流量を毎秒7千トンと想定しているが、昨年7月の豪雨ではそれを上回る毎秒7900トンだったと推定される。
同省によると、人吉市で80年に1度の規模の洪水に対応する従来目標は維持し、気候変動で増加する降水量分を加味して人吉市での最大流量を毎秒8200トンと算出。流水型ダムなどで毎秒4200トンをため、人吉市で安全に流せる流量を毎秒4千トンと設定した。
下流の同県八代市・横石の地点でも現行方針の最大流量毎秒9900トンを1万1500トンに増やす。
昨年7月の豪雨と同規模の洪水が起きた場合、人吉市で堤防は越えないが、安全に流せる「計画高水位」を最大約1メートル超える計算になる。八代市の萩原地区でも計画高水位を最大約0・4メートル超えるという。(伊藤秀樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル