昨年に小中高生がいじめで摘発や補導をされた事件は、前年から66%増えて292件となり、いじめ防止対策推進法が施行された以降の10年で最多となった。警察庁のまとめでわかった。補導された小学生は125人で、統計の残る1991年以降で最多だった。
国は昨年、深刻ないじめについて警察への相談や通報を促しており、警察庁はこうした「学校・警察連携」が進んだことが、事件化される例の増加の背景にあるとみている。
同法は2011年に大津市立中2年の男子生徒がいじめを受け自殺した事件を機に成立し、13年9月に施行された。小中高生のいじめの事件は法施行直後の14年は265件で、その後減少傾向にもなったが、23年は14年を上回った。
昨年の292件を罪種別でみると、暴行が102件と最多で、傷害60件、児童買春・児童ポルノ46件と続いた。事件全体の2割強でインターネットが使われ、その半数以上が児童買春・児童ポルノだった。性的な画像を撮影させ、SNSで送らせて広めるなどがある。
児童ポルノ増加 スマホ普及が要因か
児童買春・児童ポルノは10年前から3倍近く増えた。警察庁はスマートフォンの普及が要因とみている。
昨年に事件で摘発や補導をされた小中高生は、前年比81%増の404人だった。小中高生のいずれも前年から増えたが、特に小学生は過去最多。小学生では強要が、中高生では児童ポルノが目立った。
文部科学省は昨年2月、全国の学校に対し、子どもの生命や財産に重大な被害が生じるいじめについて、警察へ相談や通報をするように要請した。特に児童ポルノは拡散しやすくネット上に残るため「一刻を争う事態も生じる」とし、すぐに警察と連携して対応するよう求めた。
ただ、いじめで通報に至る例はまだ限られる。文科省の調査では、22年度に全国の小中高校などで認知されたいじめ約68万件のうち、学校が警察に相談・通報した件数は約2千件だった。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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