幼いころ、ウノ君は「おかあさんといっしょ」が大好きだった。
初めて踊った曲が、ちょうど1歳のころに番組で流れた「おめでとうを100回」。
毎日見て、車で音楽を聴いて、DVDも購入して。
母親であるオチョのうつつ(@ochonoutsutsu)さんも一緒に、親子で楽しんでいた。
8年前の2014年10月、「おかあさんといっしょファミリーコンサート」に2人で行けることになった。
発売日にパソコンに張り付いて手に入れたチケットで、2歳だったウノ君も楽しみにしていた。
前日にあった幼稚園の入園面接の時も、こう伝えていた。
「これ頑張ったらおかあさんといっしょのコンサートに行けるからね」
◇
当日、自分で歩こうとしない息子を抱っこして、会場である渋谷のNHKホールに到着。
入り口で係員にチケットを見せると、止められてしまった。
「あれ? 昨日のチケットですよ?」
信じられずに何度も確認したが、指摘された通り前日の日付が書かれていた。
仕事や入園面接などでバタバタしていて、日程を勘違いしていたのだ。
目の前が真っ暗になったが、邪魔になってはいけないと思い、入り口から離れた。
抱っこしていた息子を降ろして、泣きながら謝った。
「ごっ、ごめんね……ごめんね。ママ間違えて……」
事態がのみ込めていないのか、突然泣き出した母に驚いたのか、ウノ君は「いいよー」と言ってくれた。
申し訳ない、本当にごめんね。
そんな思いで謝っていたら、やや年配の男性が近づいてきた。
「これは内緒なんですが、1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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