会社の指揮命令を受けて「社員」のように働いているのに、契約上の立場は「フリーランス(個人事業主)」で、労働者としての保護を受けられない――。こうした「偽装フリーランス」の働き方が、新たな社会問題として広がっています。その背景に何があるのでしょうか。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の呉学殊(オウハクスウ)・統括研究員(60)に聞きました。
――フリーランスの働き方について実態調査をされています。
2020年9~12月に、業務委託契約を結んでフリーランスとして働く14職種の33人にヒアリングをしました。ウーバーイーツなどのフードデリバリーの配達員や、学習塾の講師、俳優やスタントマンら芸能従事者、インストラクター、コンサルタントといった人たちです。
フリーランスとひとくくりに言っても、その実態は多様でした。社員と働き方がほとんど変わらず、「偽装フリーランス」にあたるとみられる人もいました。
――偽装フリーランスと疑われる事例はどの程度あったのでしょうか。
実際にその働き手が「労働者」かどうかを判断するのは行政や司法の役割です。そこは慎重な態度が必要ですが、33人のうち5人ほどが該当したと考えています。
私自身がもっとも労働者性が高いと感じたのは、漫画家のアシスタントをしていた人のケースでした。
なぜ偽装フリーランスが生まれるのでしょう。識者はその背景に、「企業のメリット」と「労働基準監督署の苦境」、さらに「時代遅れの基準」があると指摘します。
業務委託なら、月10万円不要
この方は、漫画家がいる仕事…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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