週末の日中、人々が吸い寄せられるように昔の米蔵へと入っていく。「昭和ロマン蔵」と名付けられた旧農業倉庫。大分県豊後高田市の観光名所「昭和の町」の一角にあり、その核として人気なのが「駄菓子屋の夢博物館」だ。2002年10月に開館した。
足を踏み入れると、たちまち昭和にタイムスリップ。駄菓子はもちろん、セルロイドの人形やおもちゃ、レコードなどがびっしりとケースに並ぶ。その数6万点余り。館長の小宮裕宣さん(74)が40年以上かけてこつこつ集めた「宝物」の一部だ。何時間も見入る来館者もいる。
福岡県出身で、もともと輸入雑貨卸業をしていた小宮さん。20代後半の時、たまたま立ち寄った大阪の骨董(こっとう)店で小さなブリキの車を見つけた。小学生の頃、公園でなくした車とそっくりだった。お小遣いを握りしめ、グリコのおまけ目当てに駄菓子屋へ走った少年時代。「あまりにうれしくて、5台を200円で買いました。あれが原点。運命の出会いですね」
1990年、福岡市の西新で木造アパートの一室に駄菓子屋「懐かし屋」を開いた。子どもたちがひっきりなしに訪れた。その後、太宰府天満宮の参道に「駄菓子屋のおもちゃ資料館」をオープン。やがて豊後高田市から「商店街の活性化に力を貸してほしい」とラブコールを受けた。「2年間逃げ回ったけれど、熱意に折れました」。大量のコレクションとともに、単身で移り住んだ。
「懐かしい思い出探しの博物館」。入り口の貼り紙にそう書かれている。遊び心いっぱいだが、展示品に説明文はほとんどない。「おもちゃ箱をひっくり返したような展示にしたかった。みなさんが見て、それぞれの思い出に浸ってもらえればいい」と話す。
メンコやコマの前で、男性グ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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