東孝司
徳島県佐那河内村の村立佐那河内保育所(園児50人)で、今年5月に不適切保育が3件発覚した問題で、村からの依頼で調査していた弁護士らが、虐待を含む30件の不適切保育を確認したとする報告書をまとめた。退職者を含む20~40代の女性保育士5人が関わっていたという。村は内容を精査し、該当する保育士を処分する方針。
村が1日夜、保護者説明会を開き、報告書の内容を明らかにした。岩城福治村長は記者会見で「極めて深刻で、大変重く受け止めている。職員一丸となって園児の心のケアや信頼回復に努める」と謝罪した。
報告書によると、虐待と認定したのは15件。叱る際に背中やお尻などをたたいた▽泣いて嫌がるのを無理やり食べさせた▽口から吐き出したものを食べさせた▽昼寝の時間なのに昼寝をするのを禁止した▽感染症の症状を示している園児の鼻水を複数の園児の体につけたり、キスをさせたり、くしゃみを浴びさせたりした▽冬、ぬれた衣服の状態で散策させた、といった事実が確認されたという。
保育に関係ないホラームービーの視聴も
このほか「園児の排便が床に落ちてもティッシュで拭くのみで消毒をしなかった」「保育活動とは無関係なホラームービーを見せて怖がらせた」「ここはあんたのくるところちゃうよ、などと園児に言った」などの不適切な行為を15件確認したとしている。
被害を受けた園児は少なくとも9人とした。うち8人は、女性保育士5人が受け持った2021年度の1歳児クラス、22年度の2歳児クラスだったという。
保育所では5月、「こぼした牛乳を飲ませた」などの不適切保育3件が確認されたとして、30代の女性保育士2人が処分を受けた。村ではその後、徳島弁護士会の安田稔男弁護士と徳島文理大短期大学部の船本孝子准教授(乳幼児保育)に調査を依頼。7月から3カ月間かけて、21~23年度に保育所に通っていた園児22人と保護者延べ31人、職員・元職員計24人から聞き取りをした。
調査した弁護士らは報告書で、不適切保育が相次いだ原因として「『児童中心』の保育観の不足」「職員の意見交換の欠如」「保護者との関係が希薄」などと指摘した。(東孝司)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル