東京の農業雑誌編集部で働いていたが、大都会の暮らしに疲れ、2016年に自然豊かな大阪府の能勢(のせ)町へ移住した。当初はアラサーで無職。いまは野菜作りが収入の柱となり、フリーライターや植木屋など複数の仕事を組み合わせた「兼業農家」となった。「いまが最高に幸せ」という。
「おおさかのてっぺん」に位置する能勢町は人口9千人ほど。都会の喧噪(けんそう)から離れ、棚田や畑、山林が広がる。
伊藤雄大(ゆうだい)さん(37)が軽トラで畑を案内してくれた。周りには厳重に電気柵が張り巡らされている。シカやイノシシなど野生動物が侵入して荒らすのを防ぐためだ。獣害は深刻で、畑が全滅したこともあったという。
記者が昨年12月に訪れると、カリフラワーや芽キャベツ、ホウレンソウなどが育っていた。季節に合わせ、ナス、枝豆、ソラマメ、パクチーやバジル、タイのナスも育てている。
お盆の時期にはキクなどの花も。伊藤さんは「花は時期さえ合えば、めちゃくちゃ売れる。密植できるので、ちっちゃい面積の農家向きです」と話す。
町内には、農産物の直売所があり、新鮮な野菜を求めて町外から多くの客がやってくる。伊藤さんは、農産物の6、7割を直売所で販売する。アジア野菜は、主にタイ料理屋などの飲食店に直接配達する。農業での売り上げは年百数十万円という。
それでは生活できないので、ネットメディアなどに農業の記事を書き、庭木の剪定(せんてい)などもして収入を得ている。
伊藤さんはどうやって「兼業農家」への道を歩んだのでしょうか。記事後半では、兼業の仲間を増やす取り組みも紹介します。
もともと、農業には縁のない…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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