大阪や東京など5都府県で25日、飲食店に対する営業時間の短縮要請が解除された。大阪府内全域での解除は11カ月ぶり。府内各地の飲食店は深夜までにぎわった一方、「第6波」を見据えた実証実験もスタート。コロナとの共存を模索する日々が始まった。
25日夜、大阪市の通天閣は、大阪府の感染状況を示す独自基準「大阪モデル」で警戒解除を意味する緑色にライトアップされた。
近くの串カツ店「新世界おやじの串や」は、ひっきりなしに客が訪れていた。前日まで府の時短要請に従って午後9時で閉店してきたが、この日から午後11時までの通常営業に。男性従業員(55)は、「今までは会社帰りの人が『これから』という時間にラストオーダーだった。今日はあいにくの雨だけど、明日から上向くかな」と喜んだ。
25日の府内の新規感染者は26人で、ピークだった9月1日の3004人から激減した。25日時点の病床使用率も6・2%、うち重症病床の使用率も9・1%まで減少した。
感染の「第6波」が来ても、日常生活を続けていくための試みも始まった。
大阪・ミナミの道頓堀周辺の飲食店12店が参加し、政府の「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験がスタート。ワクチン接種証明や陰性証明を持つなど感染リスクの少ない人に入店してもらい、休業や時短営業といった制限を緩和する狙いがある。
実験に参加した「串かつだるま 道頓堀店」では従業員が来店客に協力を呼びかけていた。ミナミの飲食店など約500店が参加する「コロナからミナミを復興する商人の会」代表でオーナーの上山勝也さんは「コロナをいち早く収束するための実験になるなら、時間がかかるために客足が減るリスクを背負ってでも協力する」と話した。
実験では、感染者の動向を一定程度把握し、他の利用者に周知するための「大阪コロナ追跡システム」も利用する。店ごとのQRコードをスマホで読み込み、メールアドレスを登録すると、利用施設と日時が記録される仕組みだ。入店者の名簿をつくる代わりにすることで来店者や店側の手間を減らすという。
ワクチン接種証明を持っていない人も利用できるよう、府は店舗の近くに臨時の抗原検査場も設置した。5分程度の検査を受け、陰性なら店を利用できる。実験に参加するたこ焼き店を利用するために検査を受けた名古屋市の40代の会社員女性は、「感染がわかるならと思い検査を受けに来た。手間でも、安心して入店できるならいいと思う」と話していた。実験に協力した人には、企業が提供した50枚入りのマスクがプレゼントされた。
実証実験は29日まで。府の担当者は、「第6波が来ても感染対策と経済活動を両立するため、どれだけ手間や時間がかかるか、課題を確認したい」と話す。(浅沼愛)
25日からの大阪府の主な要請内容
【飲食店(ゴールドステッカー認証店)】
午後9時までの時短営業(酒類提供は午後8時30分まで)→いずれも解除
同一グループ4人以内→1テーブル4人以内に分ければ5人以上も可
カラオケの利用自粛→解除
【飲食店(非認証店)】
午後8時までの時短営業(酒類提供は終日自粛)→いずれも解除
同一グループ4人以内→継続
カラオケの利用自粛→解除
【百貨店、大規模商業施設】
午後9時までの時短営業(法に基づかない働きかけ)→解除
【映画館、劇場、運動施設】
午後9時までの時短営業(法に基づかない働きかけ)→解除
人数制限→継続(11月1日以降は上限緩和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル