時速16キロで車をバックさせて起きた交通死亡事故は、「危険運転致死罪」に当たるのか――。そんな点が争われている裁判員裁判の判決が、27日に神戸地裁である。通常の前進であれば「低速」とも言える速度で同罪に問われるのは極めて異例。裁判所はどんな判断を示すのか。
公判での被告の説明や起訴状によると、事故の概要はこうだった。
2021年4月の昼さがり。兵庫県尼崎市の被告の男(63)は助手席に妻を乗せ、ワゴン車を運転していた。
父が亡くなり、代々の戒名が記された過去帳を手渡すため、市内の寺へ向かっていた。その寺へ行くのは初めて。近くで一時停車し、妻を降ろすつもりだった。
一方通行の道路を走っていて、少し行き過ぎたことに気づいた。
停車できそうな路肩を左のサイドミラーで確認しながら、バックした。
その距離、約60メートル。
急に、何かとぶつかった衝撃…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル