時間がかかりすぎる再審請求 元裁判官「証拠開示に法律の不備」

 「日野町事件」では裁判のあり方にも疑問が示されている。裁判官の役割とはなにか。再審をめぐる現状に課題はないのか。有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる木谷明弁護士(86)に聞いた。

 ――大津地裁の元の裁判では、判決直前に検察の請求で犯行の場所や被害品をあいまいにした訴因変更が問題になりました。

 「日野町かその周辺」で殺害し、奪われた金庫の中身もわからない。強盗殺人のような重大事件でこれだけ訴因をぼかすのは異例です。これに沿って有罪判決を書いたのは、非常に問題のある手法だったと思います。

いつ、どこで、何を……具体的に

 ――どこに問題があるのでしょうか。

 訴因というものは具体的でなければなりません。いつ、どこで、何をした。そうした情報がはっきりしていなければ、被告側の防御が難しくなるからです。

 例えば無実の人が「何日に犯行をした」と追及された場合、その日のアリバイを立証すれば無罪になります。でも「何日~何日」とされたら、その間のアリバイを全て立証しないといけなくなります。

 法律は「できる限り」具体的に、としか言っていませんが、ここまであいまいな訴因にされれば、防御は容易ではありません。

 ――訴因変更はどのような時に行われるものなのでしょうか。

 審理を経て「このままだと有罪にできないが、訴因を少し変えれば起訴内容と大きく変わらない程度の立証ができる」という時に、検察が自ら判断するのが原則です。

 一方でこの事件でも報道があったように、裁判官が促すこともないではありません。

公平な裁判か

 検察官が「立証は十分」と思…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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