いじめや子ども同士のトラブルなど、学校での痛ましいできごとが続いています。新型コロナもあって社会の閉塞(へいそく)感が増すなか、もともと複雑な心情を抱えやすい思春期の子どもに、大人はどう向き合えばいいのでしょう。名古屋を拠点に活動するアイドルグループ「SKE48」の元メンバーで、フリーアナウンサーとして活躍する柴田阿弥さん(28)は、「小学校は暗黒期、中学・高校は回復期だった」と自らの思春期を振り返ります。当時の体験や大人への思いを聞きました。
いつも1人、和を乱すと言われて
――高校3年生のときにSKE48のオーディションに合格。芸能活動を始められました。「和を乱す」と言われたことがあったそうですね。
はい。いつも1人でいましたし、「阿弥ちゃんはいつも和を乱す」って。でも気にしていませんでしたね。人生で初めて「やりたい」と思えることを見つけ、絶対上に行きたいという気持ちしかありませんでした。
――2014年にAKB48の「選抜総選挙」で15位になり、初めてAKB48のシングルを歌う選抜メンバーに入りました。
それまで大勢のなかの一人だったのが、個人にフィーチャーしてもらうことが増えて。うれしいなぁ、と。やっぱり1人でやる方が好きなんだなと思いました。
――もともと、集団行動は苦手だったのでしょうか。
苦手は苦手だったのですけど、無理してあわせていたのが小学生のときですね。
――つらい小学校時代だったそうですね。
暗黒期でした。よく子どもに「いまが一番楽しいんだから」と言う大人がいますが、やめてほしいなと思います。大人の方がお金もあるし、友だちも自分で選べて、自由だと思います。私は大人になってからの方が、全然楽しい。だから、今つらい子がいたとしても、絶望しないでほしいですね。
――何があったのですか。
小2のとき、クラスの中心にいた女の子にいきなり「絶交」と言われ、無視されるようになったんです。「ぶりっこ」とも言われた気がします。理由は分かりません。他の子も話してくれなくなりました。
それまでの私は明るくて、「誰とでも友だちになれる」と本気で思っていました。「違うんだ」とショックでしたね。人生で初めて触れた人の悪意だったかもしれません。
――親に相談はしましたか。
仲間はずれのこと、親には言っていませんでした。なんとなく恥ずかしいなぁって思っていて。相談することすら思いつきませんでした。でも、激怒した両親が校長室に乗り込んでいくできごとがあったのです。
ある日、気がつかないうちに…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル