暴力でなく言説で争う「フェア」な社会へ 法哲学者からの三つの提案

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聞き手・真野啓太

安倍元首相銃撃事件から1年 法哲学者・井上達夫さんに聞く(後編)

 不公平や理不尽をどうにかしたい。だが個人の力ではもちろん、政治によって変革することも無理だ――。そんな諦めや絶望を民主国家で広げないためには、「政権交代」が欠かせないと法哲学者の井上達夫・東京大学名誉教授は指摘します。全2回のインタビュー記事の後編では、日本で政権交代が起きにくい三つの原因と、その打開策を論じます。

 ――「失われた30年」とも言われる日本の社会経済の停滞について、自民党の責任を問う思いは国民に鬱積(うっせき)している。井上さんはそう指摘されました。それなのに日本で政権交代が貧しいのはなぜでしょうか。

 日本で政権交代が起きにくいのは、野党がだらしないからだとよく指摘されます。これも重要な論点ですが、ここではいまの日本の政治的競争のルールが不公正であり、本来持つべき機能とは逆に、政権交代の阻害要因となっていることを指摘したいと思います。色々ありますが、特に以下の三つが重要な欠陥だと私は考えています。

 一つ目は政党助成制度。金権…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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