“暴走族的精神”安藤忠雄が語る未来「世界が変わる時、自分には何ができるか」(テレ朝POST)

テレビ朝日が“withコロナ時代”に取り組む『未来をここからプロジェクト』。 同プロジェクトでは、「未来への入り口」というコンセプトのもと、多岐にわたる分野で時代の最先端を走る「人」を特集する新企画『未来を人から』を展開。 第2回に登場したのは、世界的建築家の安藤忠雄だ。 大阪の下町で祖母に育てられ、家庭の経済事情から大学進学はせず、独学で建築家の道へ進む。 1976年に手がけた「住吉の長屋」が高く評価され、日本建築学会賞を受賞。その後も国内外問わずさまざまな建築を手掛け、イェール大学教授、コロンビア大学、ハーバード大学客員教授などを歴任する他、1995年には建築会のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞など華々しい経歴を持つ。 しかし近年は体が病気に冒され、2009年にはガンが発覚し、胆のうと胆管、十二指腸を摘出。2014年にもすい臓がんが発見され、膵臓と脾臓を全摘出。 そんな苦難も乗り越え来年で80歳となる安藤に、建築物に込めた意思や未来を担う人々への思いを聞いた。 これまで数々の名建築を世に送り出してきた世界的建築家、安藤忠雄。さまざまな逆境と戦い乗り越えてきた彼は、80歳を目前にしてどのような未来を語るのか。 話を聞いた場所は、大阪府大阪市の児童向け図書施設「こども本の森 中之島」。安藤が設計し寄付をして、今年7月にオープンしたことで話題となった。「新聞や本を読まない子どもが増えているので、活字文化の大切さを伝えたい」との信念に基づく活動であるという。 子どもが楽しめる絵本から、大人が読んでも楽しめる小説。学術書に漫画まで、蔵書は幅広い。 「おもしろいですよ。ここに来たら1日はじゅうぶんにいれますね。ここにある本は、どこで読んでもいい。外へ持っていってもいいんです」(安藤)

「コロナで人が集まれない。これは人間にとっていちばん大変なこと」

建築の世界においては、さまざまな思考の積み重ねの上に建物が出来上がるという。この図書館は、どのような考えの基(もと)に建てられたのか。 「(建築においては)考えていちばん良い答えをみつけないといけません。中之島は大阪のシンボルみたいなところ。そして、これからの大阪にとって大切なものはなにかというと、子どもなんです。我々がつくるのは宝箱みたいなもの。ただ箱と、本を用意しただけです。この施設にとっていちばんの宝はなんといっても利用する子どもたち。子どもたちに元気よくなってもらうためにはどうしたらいいか、ということをまず考えました。そうしたら形はおのずとできてくる。 好奇心は大事です。いま子どもたちに元気がないのは、親がコントロールしすぎるからです。塾に行きなさい、一流大学に行きなさい、大きな企業に入りなさいというけれど、子どもが自分の考え方ができあがってくる時期は7~8歳ですよ。みずから考えて行動できる大人になるにはこの大事な時期に本を読まないと。 自分の故郷の風景を心の中に刻むところをつくる。そして、あのとき見た本を読みながら、次の時代はどう生きたらいいかと考えられる子どもを育てることが出来れば、世界に通用すると思うんです」 さまざまな人という宝を輝かせるための箱として、あらゆる試行錯誤を重ねて建物をつくる。それが建築なのだと安藤はいう。 「建築というのは、歴史的にもエジプトの時代からギリシャとずっとありましたけれども、お互いに対話をする場所をつくる行為なんです。例えばギリシャのアゴラという広場は人間が集まって意見を交わす場所です。ローマにある広場も、みんなが集まって考える場所です。 いまはコロナで集まれないじゃないですか。これは人間にとって大変なことなんです。コロナも大変ですが、集まって心からの会話ができないのがいちばん大変なこと。それを乗り越えていくためには、気持ちの持ちようが大事です」 いまだからこそ、人が集い、考え、心を重ねることが大切――。安藤は力強くこう語る。 「心のありようってあるじゃないですか。近所に対する愛情、犬や猫や生きているものへの愛情、老人に対する愛情。そういうものを含めて、あらゆるものに対して愛情がないと乗り越えていけない。生きていくためのモチベーションは愛情だと思うんです」 コロナ禍により、インターネットを通じたコミュニケーションが世界中で加速する昨今。ネットを通じて簡単に人と“つながれる”といいがちな世の中だが…。 「スマートフォンというのは、愛情のない機械でしょう。私も使ってるけど全く愛情が感じられない。(情報が)ぱっぱぱっぱ出てくるけど、迷惑な機械ですよ(笑)。(情報をただ受け流すだけでなく、)ちゃんと体で感じることのできる子どもを育てないといけない。子どもにスマートフォン、コンピュータを与えすぎなんです。お互いにしっかりと対話しながら生きていく。そのなかで初めて愛情が出るんでしょう」

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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