自治会・町内会の運営が曲がり角を迎えています。加入率が低下し、高齢化で役員の担い手も不足。実情を聞くと、自治会に入っている人も入っていない人も、様々な思いがあるようです。生活様式が多様化するいま、地域をどのように支えていけばいいのでしょうか。
自治会加入、任意のはずなのに
「町内会」「町会」「区会」などとも呼ばれ、全国に約30万ある自治会。その運営方法や活動内容は、法律などで定められているわけではない。多くは任意団体で、その区域に住む人であれば誰でも加入、脱退できる。
だが、全員加入が暗黙の前提になっている自治会も多い。東京都立大の玉野和志教授(地域社会学)によると、そんな仕組みは大正から昭和にかけて形成された。都市化によって多くの人が都市に流入し、隣近所に誰が越してくるか、不安を感じる人が増えたためだ。「親睦を深めて自分を守ろうとする意識が生まれ、全員加入が前提になった」。世界的に見ても珍しい仕組みだという。
戦時中は国民統制の地域組織「隣組」の形で機能した。戦後、GHQが解散命令を出したが、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効に伴い、各地で次々と復活した。
祭りや敬老会などの行事を通じた住民同士の親睦、災害時の助け合い、高齢者や子どもの見守りなど、活動は幅広い。広報誌の配布やポスター掲示、国勢調査の調査員や民生委員などの推薦、募金活動など、自治体からの業務委託も受けている。「行政にとっては、自治会が地域活動を担ってくれるのは助かる。95年の阪神淡路大震災の頃から、防災面でも自治会加入の推奨が加速した」と玉野教授は話す。
課題は、加入率の低下と担い手不足だ。総務省が加入率を把握する全国624市区町村を対象にした調査で、政令指定都市では2010年度の自治会加入率は77%だったが、20年度には70%に下がった。ほかの市区町村でも減少傾向だった。集合住宅を中心にした未加入者や役員ができない高齢者が増えたことなどが主な理由だ。共働きや一人暮らし世帯の増加など、多様化する生活スタイルに運営方法や活動があっていないことも背景にある。
解散や合併するところも出てきている。22年の調査では、東京都49区市の自治会などの地縁団体の数は、6年前と比べて144減っていた。
「ボランティアには限界」「交流できる」
朝日新聞が実施したアンケートには、10代から90歳以上まで幅広い世代から回答が寄せられました。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル