大分市の県庁近くの雑居ビル2階に、レトロな図書館がある。蔵書に自由に書き込みができる私設図書館「栗茶庵(くりちゃあん)」。手に取った本がどんな思いで読み込まれたかを書き込みから想像でき、オーナーの宇野大介さん(40)=大分市=は「前の読み手のぬくもりを感じられます」と話す。
宇野さんの本業は、建物に火災報知機などを設置する消防設備士。幼少時からイラストを描くのが好きで、仕事の傍ら、オリジナルキャラクター「うさぎのくりちゃん」を考案。キャラクターのグッズをもっと多くの人に知ってもらおうと、店を構えることを思いついたという。
どんな店にするかを考える中で思い出したのが、学生時代に教科書の余白に描いた「パラパラ漫画」。書き込みがある本を集めれば、楽しい施設になるのではないかと思い立ち、私設図書館づくりに乗り出した。
本は、長年の友人の河合知美さん(41)=大分市=の家族から約3千冊の寄贈を受けるなどして収集。小説、新書、エッセー、絵本、図鑑など分野はさまざま。ほとんどが古本で、書き込みがしてあるほか、コンサートのチケットの半券などが挟まっていることも。施設名は「うさぎのくりちゃん」から名付け、今年6月にオープンした。
宇野さんは「書き込みを見れば、こんな考え方をする人もいるんだと分かるし、自らも書き込みをすることでクリエーティブに本を読み込むことができます」と説明。「知らない人同士が書き込みを通じてつながることができる」と話している。
「栗茶庵」は午後1時から午後7時。木、日曜が定休。料金は最初の1時間は400円、以降、30分ごとに150円。(稲田二郎)
西日本新聞社
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース