次々に差し出される手を、天皇、皇后両陛下はしっかりと握り返していた。12月26日、両陛下が台風19号などで大きな被害を受けた宮城県丸森町を訪れた際の出来事だ。両陛下はこの日、民間機と自衛隊ヘリ、自動車を乗り継いで、丸森町と、福島県本宮市を訪れた。
最初に訪れた丸森町では、阿武隈川や支流が氾濫(はんらん)し、10人が死亡、1人が行方不明となった。両陛下は仙台空港で自衛隊ヘリに乗り換え、丸森町立丸森中学校へ。校庭に降り立つと、まず住宅などが押し流された町内の五福谷地区を視察した。保科郷雄町長の説明を受けながら、住宅が土砂に埋まり、木が根っこからなぎたおされている様子などを目の当たりにした。
12月21日から入居が始まったばかりの花田応急仮設住宅の集会所では、被災者ら約50人が両陛下と対面。自宅を追われてしまった5人の被災者と、災害対応に尽力した警察や消防、自衛隊の代表者ら4人と懇談した。自宅が全壊した高野正雄さん(86)に天皇陛下は「大変でございましたね。ご自宅は?」と声をかけ、うなずきながら話に聴き入った。最後に「寒くなりますからどうぞお体にお気を付けて」と気遣った。
両陛下を前に一瞬言葉につまった曽我國子さん(76)が「緊張して……」と打ち明けると、皇后雅子さまは緊張をほぐすように笑顔で「ずいぶん大変な思いをなさって」と声をかけた。避難生活の長期化を踏まえ、「お疲れになりますか」と気遣うと、曽我さんも「やっぱり疲れます」と打ち明けた。
皇后さまが思わず目を潤ませた…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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