972人。コロナ禍が始まった2020年からの2年間で自殺した小中高生の人数です。20年に過去最多の499人が亡くなり、21年も過去2番目の水準となりました。全体の自殺者数もコロナ禍をきっかけに増加に転じ、特に女性が目立っています。こうした自殺を防ぐために、私たちには何ができるのでしょうか。若年層の自殺や孤独、社会的孤立の課題に取り組むNPO法人「Light Ring(ライトリング).」の石井綾華・代表理事に話を聞きました。
――最近、SNSのチャット相談など様々な自殺防止に関する相談窓口が増えています。一方で悩みを抱えていても周囲にいえなかったり、相談窓口につながるにはハードルがあったりする人もいるのでしょうか。
インスタに「眠れない」投稿 悩みに気づくには?
まだまだスティグマ(偏見)はあります。社会的に否定的な認識があると、自分自身に悩みがあっても「弱者とみられるんじゃないか」などと思ってしまいます。そういう人は身近な人にも相談しにくい傾向があります。
――どうやったら悩みに気づけるのでしょうか。
悩みを直接いわなくても、例えばインスタグラムの24時間で投稿が自動的に消える「ストーリー機能」を使って、小さな文字で「眠れない」などと投稿するとか、夜中でもSNSにログインするなど、少しのSOSを出している人は多いです。
こうした小さな異変に気づいて声をかけ、悩みを聞いて深刻な状況に陥るのを防ぐことが重要です。そうした役割を担う身近な人を「ゲートキーパー」といいます。
――ゲートキーパーだからできることは何ですか。
特に思春期や青年期の子ども、若者は先生や大人には相談しにくい傾向がみられます。それよりも同世代の友だちからの影響をうけやすく、ゲートキーパーのような身近な人が相談にのったり、相談先を紹介したりすることで、「悩みを話してもいいんだ」と思えます。
「身近な人の相談に乗る」「自分も相談を打ち明けられるようにすること」の相互の目的で、ゲートキーパーの育成講座を全国の中学校で受講できるようにし、社会に広めていくことが必要だと思います。自殺対策は緊急の対策だけではなく、予防のアプローチが特に大切です。
悩みを聞く側 受け止めきれなくなったら……
――とはいえ自分自身にも余…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル