【動画】「学校」と呼ばれた盛岡市の老舗酒店が閉店=杉村和将撮影
テーブルに置かれたコップに、お母さんがお酒を注いでくれる。
あふれるほどのお酒が1ミリほど表面張力で盛り上がったところで、「はい、お口からどうぞ」。
揺らすとお酒がこぼれてしまう。コップに口を近づけて、まず軽く一口。
店内のお酒をその場で飲める「角打ち」ができるお店として知られ、全国から訪ねて来るファンも多い。
角打ちは盛岡では「もっきり」と呼ばれている。
平興商店は、岩手県最古の酒蔵「菊の司酒造」の創業家の親戚筋にあたる。お店で飲める日本酒は、すべて菊の司のお酒だ。
コップ1杯270~470円。蔵直送のお酒を安く飲めるため、夕暮れどきになると、常連さんからいちげんさんまで、いろいろな人でにぎわう。
つまみは、せんべい(25円)やみそ付ききゅうり(50円)、やっこ豆腐(80円)などなど。豆腐はストーブの上のたらいに張った熱湯で温めてくれる。
「ここはね、先代のおじいちゃんのころから『平興学校』って呼ばれてるの。いろんな職業の人たちが集まって勉強になるから。お客さんたちが『学校さいくべ』って飲みに来てくれたのが始まりです」
店の「お母さん」平井美根子さん(78)が話を聞かせてくれる。
創業は戦中の1943年。美…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル