最近、日本付近を発達した低気圧が頻繁に通過します。この現象について低気圧発生のメカニズムやこの冬が暖冬だったことを元に説明します。
最近、低気圧多い?
ここ最近、低気圧の通過による雨や雪が多いと感じませんか?
昨日29日も、南岸低気圧が通過した影響により、関東地方を中心に季節外れの大雪が降ったのは記憶に新しいと思います。
発達した低気圧は強い風をもたらします。今年3月1日から29日までに成田空港で風速8m以上の風が吹いた回数は61回でした。(毎正時)
昨年2019年は3月の1か月で36回、一昨年は43回の観測でしたので、今年はより発達した低気圧が日本付近を通過していると考えられます。
低気圧発生のしくみとは?
低気圧(温帯低気圧)は、北極や南極付近にある空気と、赤道付近にある空気の温度差が大きくなることによって発生します。
太陽光の当たり方の違いによって、赤道付近には熱が多く溜まります。一方、北極や南極では熱が少なくなり、赤道付近と北極・南極で温度差が生じます。低気圧は、この熱を北へ輸送することで、この温度差を解消する働きがあるのです。
日本列島が存在する北半球では、北極付近がより冷たく、赤道付近がより暖かくなることによって、低気圧が発生・発達しやすくなります。
暖冬の影響で北極に寒気が溜まってる?
この冬は北極付近からの寒気がなかなか本州付近に流れ込まず、日本列島は比較的暖かい空気に覆われやすくなり、暖冬となりました。
今年の2月と3月の南北の温度差を、ある一定の気圧(今回は500hPa)の空気の高度場から確認すると、北極付近には平年より多く冷たい空気が溜まり、その南のエリアと顕著な温度差があることが確認できます。
この冬に流れ込まなかった分、北極付近により多くの冷たい空気が溜まってしまったのかもしれません。
この温度差を解消するために、今の時期に低気圧が発達しながら日本列島付近を進んでいるということも説明できます。
もちろん、低気圧の発生・発達には様々要因がありますが、これらの中に暖冬の影響が少なからず入っているのかもしれません。
日本気象協会 本社 安齊 理沙
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