最高の歌を届けたいから #コロナを生きる言葉集

 マスクをつけて発声練習をしています。最高の歌を届けたいから。(演歌歌手の天童よしみさん)

 演歌界を代表する大御所にも、コロナは容赦なく襲いかかった。感染拡大を受け、スケジュールは延期と中止のくり返し。「皆さんに勇気や元気、夢を与えるために歌手になったのに、それができない。このまま忘れ去られていくんじゃないかと」。不安と自責の日々がつづいた。

 2020年8月、久しぶりに観客を前に歌ったときは思いがあふれ、声が震えた。「デビューしたときよりも感激した。お客さんもみんな泣いてはって。うれしかったですね」

 長い自粛期間が、歌と向き合う機会にもなった。「自分ができることってやっぱり歌しかない」。来年でデビュー50年。歌は自身の人生を支え、不遇のときも栄光の瞬間もそばにいてくれた「相棒」だ。

 いま力を入れているのが、マスクをつけたままでの発声練習。浪曲の発声法にヒントを得て、独自にはじめた。暮らしのあらゆる場面でマスク着用が求められるようになった時代。「マスクをしたままでも歌えるようになりたくて」。もちろん声がこもり、思うように歌えない。ブレス(呼吸)にも苦労するが「訓練すればうまく動くようになる」という。

 「自分が元気で歌えれば、皆さんの心に伝わるはず。さらに元気に、最高の歌を届けたいですね」

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 誰もが経験したことのない日々が続いています。様々な立場、場面の言葉を集めます。明日に向かうための「#コロナを生きる言葉集」。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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