45億年前の地球に衝突し、月誕生のきっかけとなった原始惑星の残骸が、地球内部に残っている可能性があると、米国などの研究チームが英科学誌ネイチャーに発表した(https://doi.org/10.1038/s41586-023-06589-1
月の起源については、火星ほどの大きさの原始惑星「テイア」が約45億年前の地球に衝突し、飛び散った残骸から生まれたとする「ジャイアント・インパクト説」が有力だ。だが、テイアの存在を示す証拠は見つかっていない。
米カリフォルニア工科大のチエン・ユエン研究員らが注目したのは、地球内部の謎めいた領域。地球の内部は、中心から金属の核(コア)、岩石のマントル、表面を覆う地殻からなるが、核とマントルの境界に、地震波が異常に遅く伝わる領域が2カ所ある。
アフリカと太平洋の地下2900キロにある二つの領域は、LLVP(巨大低速度領域)と呼ばれ、体積は月の体積に匹敵するほどの大きさ。周囲のマントルより物質の密度が3%ほど高く、明らかに異質だ。
研究チームは、テイアと地球の衝突をコンピューターでシミュレーションした。すると、衝突で双方の地殻とマントルが溶けて混ざり合い、飛び散った破片から月が形成された。
一方、衝突を受けた地球では、鉄が豊富なテイアのマントルの一部が、地球の奥深くに沈み込んで、核の上に蓄積した。それが周囲より密度が高い巨大な塊として、45億年たった今も残っている可能性があると研究チームは指摘している。
太古の巨大衝突の証拠が眠っているかもしれない地球内部。ただ、地下1千キロ以上を掘削する技術はなく、確かめるのは難しそうだ。
ユエンさんは「地球は難しいが、月内部の岩石を調べればテイアの存在を裏付けられるかもしれない」と話している。(石倉徹也)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment