有名タレントやスポーツ選手の不倫に対するバッシングが相次いでいます。子育てに熱心なイメージで売る「イクメン」の場合、世間のまなざしはことさら厳しいようです。どうして社会的制裁の感情が強まっているのか。その背景や社会心理について考えます。
瀬地山角さん 近代家族観、無理ある規範
婚外性交渉、いわゆる「不倫」が悪だという規範は、歴史と共に変化してきました。
夫が妻の家へ通う妻問(つまどい)婚が行われた古代日本では、結婚後も別居のままが普通で、夫婦関係は流動的でした。不倫に対する制裁感情は薄かったと考えられます。
不倫が刑法の姦通(かんつう)罪という「罪」になったのは、明治時代からですが、極めて差別的な規定でした。処罰の対象は不倫した妻とその相手だけ。明治民法が制定した家父長的な家制度下では、夫には妾(めかけ)が許され、妻の性は夫の「所有物」とされていたのです。
戦後、憲法が男女平等を定めると姦通罪は廃止され、不倫は「罪」ではなくなりました。一方で民法では、不倫を「不法行為」として賠償請求権を認め、離婚事由にします。これは戦後に広がった一夫一婦制の恋愛結婚を基本とする「近代家族」の性規範を支えることになりました。
近代家族は性関係を夫婦内に押…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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