科学や文明の発展に貢献した人をたたえる第35回京都賞(稲盛財団主催)の授賞式が10日、京都市であり、スマートフォンやテレビなどに用いられる有機ELの実用化に貢献した香港科技大IAS東亜銀行教授のチン・W・タン氏(72)ら3人に、メダルや賞金各1億円が贈られた。
タン氏は、高い電圧でしか発光させられなかった有機材料を、低い電圧でも効率良く発光させる構造を発見した。授賞式後の記者会見で、「有機ELが多くの人に使われていることを光栄に思う」と話した。
ほかの受賞者は、宇宙の3次元地図を作り、150万個以上の天体の位置を特定した国際プロジェクトを率いた米プリンストン大名誉教授のジェームズ・ガン氏(81)と、前衛劇団の代表格の一つ「太陽劇団」を創立し、独創的な作品を通じて歴史・政治に対する意識啓発を促した仏演出家のアリアーヌ・ムヌーシュキン氏(80)。ガン氏は「何百人もの研究者が貢献してくれ、以前よりも定量的な天体研究ができるようになった」と話した。ムヌーシュキン氏は、着物を着た子供たちの合唱などが披露された授賞式について、「舞台の観点から眺めていた。素晴らしい文明、文化が結集したものだ」と評した。(野中良祐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル