報道デザインにおいて長年功績があったとして、朝日新聞社デザイン部が1日、日本タイポグラフィ協会の第19回佐藤敬之輔賞を受賞した。紙面とウェブそれぞれに適した形で、情報を視覚的に分かりやすく伝えてきた「デザインジャーナリズム」が評価された。報道機関では初の受賞となる。
タイポグラフィは、活字の書体や出版、広告などの幅広い分野で文字を中心にしたデザインを指す。新聞の紙面も文字を中心にしたデザインという意味で、タイポグラフィのひとつといえる。同協会は毎年、優れた作品を選考・掲載する「日本タイポグラフィ年鑑」を発行しており、朝日新聞社はこれまで、東日本大震災の被災状況を描いた大型グラフィックでグランプリを、震災から5年後の福島第一原発と廃炉や除染の課題をまとめた紙面でインフォグラフィックス部門最優秀賞を受賞するなど、入選を重ねてきた。
同協会は、国内外のデザイナーや研究者でつくるNPO法人で、佐藤敬之輔賞は、個人と団体の「文字に関わるエモーショナルな行為」に贈られる。今回の授賞について同協会は「新聞記者が文字で記事を書くことをデザインで行っていることと同義であり、まさに報道デザイン・デザインジャーナリズム」であり、朝日新聞社の紙面づくりが他の新聞社に多大な影響を与えてきたこと、新聞の中でのデザインの役割を再認識・牽引(けんいん)する存在であることも評価した、としている。(炭田千晶)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル