抜井規泰
大規模災害時に被災地に出動するトイレトレーラーや地震体験車などの寄付を続けている埼玉県朝霞市の「丸沼倉庫」が25日、県南西部消防局に救急車を寄贈した。車内で高レベルの救命処置ができる「高規格救急車」で、費用は計約4千万円。朝霞消防署であった贈呈式で、同社の須崎勝茂社長は「地域の安心安全を少しでもお手伝いできたら、うれしい」と語った。
寄贈のきっかけはコロナ禍だった。救急出動の急増を受け、全国の消防局では平日や日中に限定して活動する「日勤救急隊」を発足させた。県南西部消防局でも1隊を創設したが、肝心の救急車が足りなかった。
須崎社長は「事業で得た利益は地域に還元したい」と、様々な特殊車両の寄付や芸術家への支援活動を続けている。救急車不足を知り、朝霞市の富岡勝則市長に寄贈を打診した。贈呈式で須崎社長はジョークまじりに「数年前に地震体験車を寄付したばかりなので遠慮するだろうと思ったら、市長が『ぜひお願いします』というので寄贈することになりました」と語り、笑いを誘った。
車両に2千万円、酸素ボンベなどの機材や無線設備といった車内装備に2千万円を費やした。
須崎社長は「タクシー代わりに救急車を呼ぶ人もいると聞きます。そんな方には費用を請求できるよう、料金メーターも装備しました」。
これはもちろん冗談だが、真顔でこう続けた。「行政に『何をしてもらいたい』ではなく、自分が『何をやれるか』を、これからも考えていきたい」
昨春にはトイレトレーラーと専用の牽引(けんいん)車を朝霞市に寄贈し、保管場所も提供している。トイレトレーラーは今年1月、能登半島地震で被災した石川県七尾市に初出動した。3カ月近くが経過して七尾市の避難者が減り始めたことから、今は広域で断水が続く珠洲市に派遣されている。(抜井規泰)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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