朝鮮人虐殺の追悼式、公園使用に誓約書求めず 都が一転

 関東大震災の際のデマなどで虐殺された朝鮮人犠牲者らの追悼式典をめぐり、会場の公園を管理する東京都が主催者に誓約書の提出を求めた問題で、都は、誓約書なしで公園使用を許可する方針に転換した。

 追悼式典は1974年から日朝協会などでつくる実行委員会が、9月1日に都立横網町公園(墨田区)の朝鮮人犠牲者追悼碑前で開いてきた。これに対し2017年から、虐殺の事実を否定する団体も同時刻に同じ公園で「慰霊祭」を開催。昨年は抗議する活動家との衝突もあった。

 都は昨年末、公園使用許可申請の際に、管理に支障となる行為をしないなどの条件が守れない場合は「管理者が集会の中止を指示したら従います」とする誓約書の提出を双方の主催者に求めた。実行委は「誓約書は集会運営を萎縮させる」と反発。抗議署名や抗議声明の動きが相次いだ。

 都は7月末に方針を転換。「注意事項を守り、行事を平穏に行う意思が口頭で確認できた」として、誓約書なしで実行委の申請を受理した。都公園緑地部の樽見憲介・適正化推進担当課長は「今後も必要が生じたら誓約書を提出してもらう」と話す。

 実行委は3日、「都が誓約書の要請を取り下げたのは、多くの方々の抗議の成果」との見解を発表。都に対し「差別的言動を防ぐため実効ある取り組みを」と求めた。9月の追悼式典は新型コロナウイルスの感染防止のため、一般参加者を入れずに実施し、インターネットで中継する。

 追悼式典をめぐっては歴代の都知事が追悼文を送ってきたが、小池百合子知事は「犠牲者数については様々な意見がある」と発言し、2017年から見送っている。(西村奈緒美、編集委員・北野隆一


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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