1月に開かれた愛知県ヴォーカル・アンサンブルコンテスト高校部門(県合唱連盟、朝日新聞社主催)同声の部で、愛知朝鮮高級学校(同県豊明市)声楽部が、9年ぶりに金賞を受賞した。朝鮮半島にルーツを持つ6人の現役部員たちが、歌に込めた思いは。
「歌詞が棒読み。一つ一つ考えながら歌うといいと思います」
2月半ば、校舎内の部室で1~2年生の女子部員たちが練習していた。1度歌って、それぞれがアドバイスしあい、また歌う。歌もアドバイスも、時折挟む雑談も、すべて朝鮮語だ。
声楽部では、練習メニューも曲も自分たちで考える。1月のコンテストで歌ったのは、ディズニー映画「ポカホンタス」の主題歌、「カラー・オブ・ザ・ウィンド」だった。
ネイティブ・アメリカンの主人公ポカホンタスが、自然の声を聞けるようになれば地球の価値を理解できる、ということを、英国人の冒険家に伝えようとする歌だ。
部員たちは、歌詞に込められた意味をそれぞれが調べた。李美璃(リミリ)さん(2年)は「差別などを乗り越えて自由に生きる、という曲。在日コリアンの自分たちと比べました」。金素向(キムソヒャン)さん(2年)も「在日もマイノリティー。自分たちと重ねて歌いました」と話す。
金さんは、歌詞で特に印象に残る部分があるという。「生物はみんな生きていて、あなたはまだ知らない、知ろうとしていない」という趣旨のところだ。
「いつ日本に来たの?」と聞かれることがある。戦前や戦中、徴用や出稼ぎなどで日本に渡り、戦後も残った人たちが在日のルーツ。外交問題に絡んで在日に厳しい視線が向けられることは少なくないが、自分たちの歴史はあまり知られていないと感じる。
「在日の歴史や存在について、ぜひ関心をもってほしい」と金さんは言う。
163人が通う同校には、サッ…
【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment